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旅と子ども、二つのテーマを結ぶもの

『ペーパースカイ』という雑誌のことを知ったのは、今から4年程前のこと。出版関係のイベントで隣り合わせた人が見せてくれたのが最初だった。その人こそ、ペーパースカイ編集長のルーカス・バデキ・バルコさん。17年前、大学卒業の翌日にアメリカからリュック一つで日本にやってきて、やがて自分で雑誌を作るようになったという人だ。『ペーパースカイ』は、日本や世界を旅しながら、”A Different Way To Travel”という、これまでの旅とはちょっと違った視点からその国の文化や生活を紹介する旅雑誌。ちょうどその時の最新号が、No.20の青森特集号だった。”Get Warm in the Cold – 寒くてあたたかい国、青森”というテーマで、冬の青森を旅する企画。雪景色に温泉、そして共同浴場にローカルフード。私たちも、温泉と鍋のあたたかさを味わうために、わざわざ吹雪の青森に足を運んでいたほど好きな場所の一つだった。紹介されていた写真を見ながら旅の話に花が咲いた。そして次号の取材のために今度は沖縄に行くとのこと。私たちが旅した時の沖縄の写真を持って、後日またルーカスさんのオフィスに遊びにいくことにした。

当時出産を控えていた私たちは、ルーカスさんが作っている子ども雑誌『マンモス』にも興味を持った。「旅」と「子ども」という二つのテーマが、彼の中でどう結びついているのか。それを知りたくて、ヤムヤムインタビューでも取材させてもらうことにした。その中でも書いているように、当時私たちの中では、「旅」と「子ども」は対峙するテーマだった。そんな問いかけに対して、ルーカスさんはこう答えてくれた。

「旅の何がおもしろいかといえば、自分の知らないことをいっぱい発見できるからなんだよね。違う国の人の考えだったり、違うやり方だったり、それまで全く知らなかったことに触れたとき。その発見がやっぱり好きなんだよね。で、それはたぶん“子ども”も同じだと思う。考えたこともなかった新しい発見がいっぱい。普通のイメージだと、親がいろいろ子どもに教えて、そのままに子どもが動くんだけど、僕はそれは逆なんだと思う。子どもが感じていることから、親がいろいろ発見して教わること、それが新しい発見になって、変わることがいっぱい出てくる感じがする。もちろん親だけじゃなくて、大人が子どもと接することってそういうことだと思う。」

子どもは、自分が出会ったことのない、思いがけない発想を教えてくれる。それは、旅先で初めてのものに出会った感覚とよく似ていると、彼は話してくれた。それはまさに『ペーパースカイ』と『マンモス』に共通する思想なのだと思う。

» ヤムヤムインタビュー(2007.7)「旅と子ども雑誌の編集長 ルーカス B.B.さん」

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『Papersky』 & 『Mammoth』Knee High Media



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