イギリスの日曜の過ごし方に、パブウォークというものがあります。散歩しながら、道中のパブでひと休みをするというウォーキングです。ウォーキングといっても、ダイエットのためにひたすら早歩きするというものではなく、風景を楽しんだり、思索を深めたりしながら、自分のペースで歩くという感じです。
イギリスには“フットパス”という自由に歩いていい道というのが存在します。「何百年も前から歩いていた道はみんなのもの」という考えから、現在は私有地となっている場所でも、誰でも自由に歩くという権利が認められているのです。イギリスの人はこのフットパスを歩いて散歩するのを余暇の愉しみとしている人が多く、ウォーキングの本なども地方ごとにいろいろと出版されています。
ウォーキングルートには、広々とした道とも呼べない原っぱや丘を歩くところも多くあります。看板や舗装、整備された遊歩道ではなく、自然のまま。草が踏み固められただけの状態で、人が歩いた形跡を辿るという感じです。個人の私有地や農場に入るときにはゲートがあります。木やパイプで作られた素朴なもので、“Public Footpath”と書かれた、小さな矢印マークが付いています。目印はそれだけで、目印を探しながら、あてどもなく歩くのです。時には、馬のいる柵の中へと入ることもあります。農場主の姿はどこにもなく、矢印マークは柵の中に入るとなっています。中には放し飼いの馬たち。柵の外から眺める馬はかわいいですが、誰もいないところで,馬のいる柵の中に入るのは案外勇気がいるものです。
そうこうしているうちに小さな村に入り、パブを見つけました。ちょうど喉が渇いて来た頃なので、さっそく店で休憩です。このパブにはビアガーデンがあります。ビアガーデンには、木陰と芝生、木のテーブルと椅子、そして放し飼いのアヒルや猫たちが遊びにきて、何とも心安らぐ場所でした。途中の小川は、自然の草木の間を縫うようにゆったりと流れていて、とても美しかったです。日本にも「春の小川」という歌があるけれど、かつて日本の川もこのように美しかったのかなぁと思いました。そして、最後にもう一軒のパブへ。川を眺めながら、よく冷えたラガービールを飲んで、心地いい身体の疲れを癒しました。
天気のいい週末にパブ散歩。整備された遊歩道や立派な看板がなくても、手付かずの原っぱと、誰かの家の農場をちょっと貸してくれる心のスペースがあれば、こんな風に誰もが幸せを享受できるのだと、イギリスのシェアの精神を感じ取ったのでした。
【関連記事】
» パブに集まる人たち
» イギリスパブ論講座 by 山本えり奈







[...] » パブ × ウォーキング » イギリスパブ論講座 by [...]
RSS feed for comments on this post. / TrackBack URI